Thursday, March 09, 2006

ゴー・ゴー・ゴア/Go go Gore.

アル・ゴアが気候変動に関し、2月22日に行った演説の一節がずっと気になっている。

カリフォルニアのモントレイで開かれたTEDという集会での発言だ(この集会自体、デザイナーが「形式と内容」を探る試みってことでかなりおもしろそう。ちなみにゴア以外のスピーカーは持ち時間18分ずつ。4日間で100人の論者が登場したそうな。スピーチの間にはライブ音楽の演奏があったり、テレビ広告が流れたり、との報告がdesign within reachに載っている)。
ゴアのスピーチの概要は、worldchnagingが報告している。

ゴアのスピーチはスライドを見せながら、温暖化の症状を聞いている人に訴える、ってスタイルだったそうです。地球温暖化が現在、ここにあり、科学者で疑うものはひとりもいないってのに、「一般のプレスとなると、53%が温暖化に懐疑的」であるって部分、なるほどなあと思いました。

ゴアのスピーチは5月公開予定の自らも関わる「An Inconvenient Truth(都合の悪いひとつの真実)」というドキュメンタリー映画の前宣伝という趣もあり、はたまた、2年後に迫った米大統領選を意識したものとの読みもある。

ゴアの発言のなかで、いろいろ考えているのは、人間というものはほとんど「気候変動問題なんか存在しない」と否定する立場から、「もう何をやっても無駄、手遅れだ」と絶望へ一気に移動するものだ、ということ。
(原文はTedBlogに)

否定と絶望、問題があるかないか、問題の受け止め方においては両極端だが、行動という観点からすると、このふたつは共通しているということだ。問題がないと思っているうちは、もちろん、人間は何もしない。問題の深刻さに気付いて絶望してしまうと、もう何をやっても手遅れなのだから、何もしない。否定から絶望へ、問題の受け止め方は変わっても、結局なんにも自分では行動しない。ほと
んどの人間が否定から絶望へと一気に移動するというのも、行動をしないという一点では整合がとれているからだろう。問題の大きさが分かれば、誰もが行動を起こすだろうと期待しがちだが、そうとも限らない。絶望してしまい、これまで通り、何もやらないことのほうが多いということだ。温暖化だけでなくオイルピーク問題についても同じことが言えそうです。

ゴアが大統領になれば、環境問題への取り組みが少しはましになるかも知れないが、はたして「否定から絶望」へ動きがちなフツーの人に行動を起こさせることができるだろうか。

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