Monday, March 06, 2006

フットボール/my footy is not soccer.


夏も終りの3月5日、今年から始まったサッカーのAリーグの決勝戦があった。週末の朝刊には決勝に進出したシドニーのコーチ、リトバルスキ-のインタビューが載っている。週末の新聞はいくつものセクションに分かれて到着するが、そのスポーツ・セクションの表紙だ。去年の今頃も彼のインタビューが載っていたが、それはAリーグと名前を変えたサッカーの全国リーグのシドニー・チームの監督就任に関するもので、わざとらしく、ハーバーブリッジをバックにした写真が載っていた。

個人的にはスポーツはまったくやらないが、観戦するのは好きで、機会があればよくグランドに出かける。夏はクリケット、冬はオーストラリア式フットボールだ。プロの試合だけじゃなく、旅行先とかで草クリケットや草フットボールを眺めるのも好きだ。だから、シーズン最終のAリーグ決勝戦よりも、クリケットの国内リーグ最終ラウンドだとか、そろりそろりとシーズン開始に近付きつつあるオーストラリア式フットボールのほうに目がいってしまう。



サッカーはもちろん世界標準、といってもルールはともかく選手の名前も知らない。リトバルスキーくらいは知っていても、三浦カズなんて、こっちの新聞で読むまで知らなかった。クリケットも旧大英帝国植民地の諸国では人気のあるスポーツ(インドやパキスタンなどでは「国技」クラス)だからたいていの選手の名前は知っている。オーストラリア式のほうは日本でオージーボウルなんてわけのわからない名前で時々忘れた頃に紹介されることがあるくらいで、世界的には極めて稀なスポーツだ。しかし、こちら、ほとんどの選手の名前と顔を知っている。

オーストラリア式フットボールはシーズンオフに一番ルールの近いアイルランド式と折衷ルールで国際試合をかろうじて行えるくらい、他に対戦相手を探すこともできないほど世界的にはマイナーなフットボールだ。しかし、国内での人気は絶大で、オーストラリアでプレイされる4つのフットボール・リーグのなかでは、一番の人気だ。サッカーは、競技人口はともかく、全国リーグとなると4番目のコードに甘んじてきた。人気順には、オーストラリア式(AFL)、ラグビー・リーグ、ラグビー・ユニオンときて、その次がサッカーだ。

つい最近、発表されたオーストラリア式フットボールの2007年から5年間の放映権料からも知ることができる。5年間の放映料は7億8千万ドルだ。1年あたり、1億5千600万ドル、二番目に人気のあるラグビー・リーグのテレビ放映料は現在1年間に1億ドルだ。毎週8試合、22ラウンド、それにファイナルが4ラウンド、合計26週間のシーズンでは、オーストラリア式の放映料は一週間あたり600万ドル、ひと試合あたり75万ドルということになる。サッカーはヨーロッパや南米からの移民のスポーツというイメージが強く、移民の新オーストラリア人を対象とする第二の公共放送テレビ、SBSがもっぱら放映している。

サッカーは去年まで、全国リーグは全国蹴球連盟(NFL)と呼ばれていた。それぞれのチームは民族的な色彩が強かったが、Aリーグ発足にあたり、都市や町ごとに再編された。そして、蹴球といえばどんなコードでも、プレイするのは冬と決まっていたものだが、ほかのコードとの競合をさけるためなのか、それとも北半球にあわせたのか、シーズンも冬から夏に変更されてしまった。(しかもAリーグってネーミング、日本のJリーグの成功に倣ったのはみえみえだが、それにしても安直。韓国のKリーグ、シンガポールのSリーグときてオーストラリアのAリーグ。)

新チームでスタートした夏のAリーグ、人気は上々、今日の決勝戦もグランドはファンで一杯だ。今年はワールドカップもあるし、サッカー人気はますます盛り上がってくるだろう。すでにラグビー・ユニオンを抜いて、第三のコードになったとする向きもある。もともと、ヨーロッパのリーグでプレイする者が何人もいて、それなりにプレイヤーの水準は高いようで、人気がでても不思議ではない。

それはそれで結構なことだが、季節外れなことともに、ひとつ、どうしても我慢できないことがある。新リーグ創設にともなって、「サッカー」を改称しようとする動きだ。全国選抜チームはサッカールーズ(サッカー+カンガルー)と呼ばれてきた。日本語でもサッカーが普通で、こちらでも長い間、サッカーと呼ばれてきたのに、それをフットボールと呼び変えよういう動きが進んでいる。新聞やラジオの報道もそれに従い、フットボールへ呼び変える傾向がある。これには、どうしても納得ができない。

世界標準だからというのがサッカーをフットボールと言い換えようとする人たちの言い分だ(しかし、アメリカやカナダ、アイルランドなどでも、フットボールといえば独特の球技を指し、サッカーはサッカーであるようだから「世界標準」と言うのもどうだろうか)。そして、それが例え「標準」だったにしても、なぜ、それに合わせなければならないのか。

これまで、オーストラリアではフットボールという言葉は、いくつもの異なるコードを傘のように含む言葉として使われてきた。たとえば、ビクトリアとかタスマニア、南オーストラリア、西オーストラリア、そして北部特別地域でフットボールや、その短縮である「フッティ」といえば、間違いなくオーストラリア式のことを指す。それらの地域で「フットボール」という言葉からサッカーを連想する人はほとんどいないだろう。同じように、ニュー・サウス・ウエールズやクイーンズランドでは、「フットボール」といえばラグビー・リーグを連想する人が多いはずだ。

サッカーはグローバル化時代の「世界標準」スポーツってな乗りでこられると、それだけで反発してしまう。グローバル化の時代だから世界共通のルールで競い合うのもおもしろいけど、世界のほとんどの人が首をかしげる風変わりなルールのフットボールのほうがあってもいいし、そっちのほうがずっと興奮する。(あんまりサッカーには詳しくないのですが、ボールを3つくらい同時に使うとか、ゴールをいまの2倍の幅に広げるとか、少なくともオフサイドをなくす。そうするとサッカーはもっとおもしろくなるんじゃないか、そんな気がします。オーストラリア式フットボールの興奮に比べたら、それでも足りないって気がします。個人的に。はい。)

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