Wednesday, April 19, 2006

紅葉/here comes autumn.


例年より一週間遅れで夏時間が終わったと思ったら急に寒くなりました。今朝は標高千メートルの高原に南極おろしの冷たい風がぴゅーぴゅーと吹いて、気温は5度。ぶるっ。吐く息が白く見えます。まだ、一日中は焚いてませんが、日が暮れると、ストーブのまわりで過ごす時間がだんだん長くなります。

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玄関の正面にあるもみじの木もすっかり色付いてきました。うちの庭には食用の木ばかりだと思われているようですが、鑑賞植物もたくさんあります。ユーカリやアカシアなどオーストラリアの植物は季節感があまりないので、サクラやもみじなどで季節の変化を愛でようという魂胆。春は花見、秋は紅葉、自宅にいながら楽しもうというわけです。今は本当、毎日毎日、紅葉狩り。してます。


秋の始まりはフットボールの季節でもあります。今年もリーグ戦が始まりました。ひいきのコリンウッドは2ラウンド目にして今季初白星。公式戦で勝つのはなんと9ヶ月ぶり。勝負は時の運、これから6ヶ月のシーズン、いつかは手にする初勝利ですが、早い方がやはり嬉しいです。去年、一昨年と主力選手の怪我や故障で、最下
位近辺の成績でしたが、今年は主力選手が復帰し、我がチーム、そこそこやれるんじゃないかと期待してます。まあ、シーズン開幕から数週間だけは、どこのチームのファンも楽観的でいられるものです。

秋になると最初に気になるのは我がフットボール・チームの調子ですが、それと同じくらい気になるのは薪の手配です。これから半年近く必要になる暖房燃料の確保です。亜熱帯のシドニーあたりならともかく、標高1000メートルの高原の冬は寒くて長いので、切実な問題です。

何年か前に、このあたりに都市ガスが設置された時、近所の家はほとんどガスに切り替えました。うちでも、いろいろ考えましたが、結局、これまでのように冬の暖房は薪ストーブに頼ることに決めました。ガスのほうが環境に良いという意見もありますが、所詮、石油同様、近々ピークに達する使いっきりの資源です。いまは中国に輸出するくらいふんだんな資源ですが、じわじわと生産が減り、値段も上昇することは間違いありません。

しかもガスは中央集中的なエネルギー源です。どこか遠くで収穫したものが、何千キロも配管されてくる供給体制はぜい弱で、他人任せなシステムです。長大なシステムのどこかで何が起こるかわかりません。もちろん、いずれ、復旧されるかもしれませんが、復旧されないかも知れません。復旧されるまでの間、寒さに凍えなければならないかも知れません。このシステムは、何か起きても、自分ではどうすることもできません。

いろいろ、そんなことを考え、他人を信用しないわけじゃないし、心配性なわけでもない。でも、結局、薪に頼ることに決めました。木は本来の意味で、再生可能な資源であること。適切な燃やし方をすれば二酸化炭素の排出もすくない。しかも、うちの周囲にはブッシュがあり、風で折れた木の枝はあちこちにあり、これが夏になるとブッシュファイヤーの燃料になります。秋から冬にかけ、これらの枝を燃料用に集めることで、夏の災害を予防することにもなります。

現在は、春から初夏にかけ、消防団を大動員し、燃やしてしまうことで、ブッシュファイヤーを未然に予防する対策がとられています。しかし、大量のエネルギーを投入し、エネルギー源になりうる資源を、季節外れに無為に消費する。こういうやり方は、石油減耗の時代にはとても成り立たないでしょう。ブッシュファイヤー予防には乾いた夏がくる前に、枯れ木があまりない状態にしておくことです。ならば、枯れ木を秋から冬の間、暖房用の燃料として利用することが一石二鳥ではないか。

もちろん、ブッシュから拾ってくるものだけでは足りません。ひと冬、我が家だけで2トンから3トンの薪が必要になります。足りないぶんは、近所にあるゴミ捨て場などから外へ出かけるつど拾ってきて補います。燃料用として燃やせるようにするためには半年は最低乾かした方がいいので、定期的に補充するようにしなければなりません。

そんなやり方でここ、3年ほど、冬の薪は賄ってきました。それまでは毎年、冬の薪代にひとシーズン8万円から10万円近く使っていましたが、今は、拾ってきた木を切り刻むためのチェインソーの燃料代くらいですむようになりました。

こうやって冬の支度をするために普段から薪を集めておくのは手間がかかり、労働集約的なことは間違いありません。ガスにつなげば、金さえ払えば、温い生活が簡単に手に入ります。でも、エネルギー下降の時代にはこれまでのように安いエネルギー源に頼ることはできません。多くの部分を人力で補っていかなければならないことでしょう。いまから練習しておけば、何かの役にたつかも知れません。

もみじの葉が落ちる頃、高原には初霜が降り、長い冬を迎えます。

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