Wednesday, September 13, 2006

石器と石油/oils ain’t stones.

アル・ゴアが自身の主演するドキュメンタリー映画,「都合の悪い真実」のプロモーションで来豪しています。

マクファーレン産業大臣は映画を「娯楽作品」だと酷評し,「当選しなかった大統領候補」にアドバイスを受けるつもりはないと国会で発言したそうです。ハワード首相もゴアに会うつもりはなく、試写会への招待もむげに断っています。さすが、先進国のなかではアメリカ以外唯一「京都」批准を拒むハワード政権の面目躍如です。

が、試写に出かけた人の評価はまずまずで,マスコミでもあちこち取り上げられ,それなりのインパクトはあるようです。近所の映画館に来たら見に行こうと思っています。未曾有の干ばつや凶暴化するハリケーン、台風などを「娯楽」として楽しむことができるかどうか,疑問ですが。

んで、今朝、トーストをかじりながらラジオを聞いていたら,ゴアがインタビューされていました。

性急さが伝わるなかなかなインタビューでしたが,ただひとつ気になったのは,「石器時代発言」です。

これはあちこちで繰り返される発言で「石器時代が終わりを迎えたのは石が不足したからではないように、石油時代の終わりも石油不足が招くのではない」というやつ。

最近読んだジェレミー・レゲットの「Half Gone(邦訳は作品社より益岡賢訳、「ピークオイル・パニック」というタイトルで近刊予定。しかし扇情的なタイトルだなあ)」にもシェイク・ヤマニの発言として収録されていました。サウジの元石油相の場合は,西側諸国が燃料電池など、ガソリン・エンジン以外の開発に本腰をいれはじめたら、あっという間に石油の時代が終わるだろうとOPECの代表たちに警告を発するという文脈での発言で、ゴアの場合は、「だから,まだ石油があるうちに自主的に石油時代を終わらせようね」と,ヤマニがまさに恐れたことを実行しようと呼びかけているわけです。

ゴアの意図するところに異論はありませんが,石器と石油の本質的な違いを見逃しているのは気になります。石はアブラのような燃料ではなく,燃やせばなくなるものじゃありません。アブラは化学製品や化学肥料の原料にもなりますが,基本的には燃やせば終わり,使いっきりの燃料です。また、アブラはきわめて優れた化石燃料であり、石が銅や鉄に取って代わられたように、アブラが別なひとつの燃料に取って代わられるということはあり得ないと思います。脱石油時代は、なにかひとつのエネルギー源に頼るのではなく,様々なエネルギー源の組み合わせでやりくりし,エネルギー消費そのもの減らしていく時代です。

No comments: