Sunday, December 18, 2005

経済プ-ムの背景と家の自作ブーム/OECD report on housing

最近は家を自作することを考えたり、住いについて関心がある。まわりにも、関心を持つ人が多い。住まい、というかシェルターは衣食住というように人間の必要性のひとつに数えられている。本来なら、屋根の下で雨露をしのぎ、それなりの快適さを追求することは誰にも当たり前に認められた権利であるはずだ。

かつては割安感があり、持ち家が普通と思われていたオーストラリアだが、パリに拠点を置くシンクタンク、OECDが15のいわゆる先進国を対象に行った調査によれば、もっとも住宅価格の割高な国になってしまったようだ。
www.oecd.org

オーストラリアの住宅価格は賃貸との比較では最高で、他の国の平均を5割以上も上回る。収入との比較においても、他の国の平均を5割ほど上回り3番目だ。住宅ローンと収入を比較すると、4番目の大きさ、それぞれの家庭の可処分所得に対する負債の割合いは143パーセントにものぼり、1990-91年の49パーセントに比べ3倍になった。シェルターの確保が大きな負担になっていることがわかる。

2004年には収入の3割以上を住宅費にあてなければならない人口が約1割近い170万を数え、住宅価格の上昇は低所得者層だけでなく、人口の大半を占める中産階級にまで影響を及ぼし始めている。手ごろな価格の住宅が減る一方、公営住宅ストックもここ10年の間に3万軒減り、住宅状況は悪化する一方だ。家の自作を考える人たちの増加の背景にはこんな事情もある。田舎への回帰傾向の理由の一端も都市を中心とする不動産バブルにある。

「住宅価格を過度に押し上げ、手に入りにくくしてしまった元凶」は、民主党の元リーダー、アンドリュー・バートレット上院議員が指摘するように、不動産投資への減税政策だ。
http://theage.com.au/news/national/house-prices-world-highest/2005/11/30/1133311106610.html

言い換えれば、オーストラリアのここ数年の景気の良さは、住宅価格の高騰、住宅建設ブーム、不動産バブルに支えられたものなのだ。景気のよさは住宅という本来は人間の必要性を満たすためのものを金儲けの対象にした見返りなのだ。

住宅価格を適正なレベルに下げろという圧力は強まってきているが、景気の失速につながりかねないので、政府は簡単に政策を変更することはしないだろう。

しかし、バブルというのものはいずれ破たんする。

OECDレポートも指摘するように、現在の住宅ブームにおける 「住宅価格の累増は、以前の増加をはるかに上回るもの」であり、期間も過去最長のブームの二倍を超えている。政策の変更が遅れれば遅れるほど、崩壊の危険は高まり、その規模も膨らんでいく。
(18/12/5)

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