Wednesday, January 16, 2008

捕鯨関係短信/how low must you go?

共同船舶社の捕鯨活動に直接行動で抵抗するグリーンピースとシーシェパードの船が日の丸捕鯨団を捕捉し、 南氷洋で小競り合が始まった。陸の上ではオーストラリア人が日本の捕鯨に反対するのは人種差別が根底にあるとするユーチューブに投稿された「有志」制作のビデオを巡り緊張が高まっているところへ,オーストラリア連邦裁判所が「捕鯨違法」判決を出し,森本稔鯨類研究所理事長の火に油を注ぐような投稿が掲載されている。





●15日にはシーシェパードのメンバー2人が,第二勇新丸に乗り込み,拘束されている。日本の報道では「妨害・破壊活動を展開する恐れがあったため、乗組員が取り押さえた」と水産庁の発表だけを引用している。

シーシェパードは2人の乗船の目的は捕鯨が違法であることを訴える手紙を渡すことだと発表している。手紙には「この乗船が犯罪を犯すつもりはなく,窃盗や乗組員に危害を加えたり、船の破壊を意図するものではない」とはっきり書かれている。

英国籍とオーストラリア籍のシーシェパードのメンバー二人が乗船するところ,そして取り押さえられる光景はビデオで見ることはできる。

(これらの写真やビデオはシーシェパードの撮影)

当時17ノット(時速30キロ)で航行する船から,「乗組員は二人を海に突き落とそうとし,それから隔壁甲板に縛り付けた。二人は暴行を受けた後,レールに縛られ,一時は腰まで水に浸かったほどだ。それから上部甲板に移され,レーダーマストに2時間ほど縛りつけられた」とシーシェパードの抗議船、スティーブ・アーウィン号からシドニーモーニングヘラルド紙に説明している。

最新報道によれば「日本政府は二人の釈放に合意」したといわれているが、具体的な内容は明らかにされていない。

このシーシェパード、日本のクジラロビーは「テロリスト」だ「海賊」だと罵声を浴びせるが,1月10日,この団体の顧問にイアン・キャンベル元上院議員が就任した。昨年の総選挙で敗北したハワード政権で2004年から2007年まで環境大臣をつとめた人。昨年5月に政界引退を発表した。環境大臣時代はは温暖化への取り組みなどにはあまり熱心ではなかったが、クジラとなると目の色が変わっていた人だけにあり得る動きだ。

日本のクジラロビーも、友好国の元大臣が参加する団体をいつまでも「海賊」呼ばわりすることはできないだろう。

●15日付けのフェアファックス系新聞に森本稔が寄稿し,「調査捕鯨」の正当性を主張している。

森本はいつものパターンをヒステリックな調子で繰り返すだけで、クジラを屠殺するのが野蛮だというが「オーストラリアの原住民だってジュゴンを捕獲しているじゃないか」と言い出す始末。「オーストラリアの人間が「かわいい」理由で捕鯨に反対する権利は認めるが,他の国が合法的に行う捕鯨をやめさせる権利はない」と結んでいる。

●同じ15日,オーストラリアの連邦裁判所は日本の捕鯨が同国の法律に違反するとの判決を下した。オーストラリアは2001年から自国の排他的経済水域で「クジラの聖域」を設置しており、日の丸捕鯨船団(共同船舶)のクジラ屠殺行為はそれに違反するとの判断。

これは、南極沿岸がオーストラリアの領有であるという主張に基づいており、だから、そこに自国の法律や司法が適用されるという判断。しかし,南極の領有そのものが国際的に認められておらず、領有は隣国のニュージーランド、チリやアルゼンチンなども主張しており、オーストラリアの主張する「クジラの聖域」も国際的に認知されたものではない。

裁判所は判決に実効力はないとしているが,訴えを起こした動物保護団体ヒューメイン・ソサエティ・インターナショナルは連邦政府が共同船舶の捕鯨監視目的で派遣しているオセアニック・バイキング号にこの判決を実効に移すよう求めている。

1 comment:

Anonymous said...

脱石油の一環として畜産業の産出する動物性たんぱく質から追い込み漁を含む沿岸捕鯨にシフトすることで、水産資源を有効に活用することが求められそうですね!