Friday, June 13, 2008

アブラは高いか?/Oil expensive?

ガソリン高騰がどこの国でも話題になっていますが,さてはて,これは本当にそんなに高いのでしょうか。

「熱量的にみれば、1リットルのガソリンは肉体労働3週間分に相当する。現在の価格はまだまだ安いんじゃないか。20ドル,200ドルでも安いんじゃないだろうか」

エネルギー・ブレティンの編集者,アダム・フェンダーソンはオーストラリアのオンライン雑誌,クライキーとのインタビューでそう語っています。

原油価格/ガソリンの価格が上昇するたびにいろいろな「理由」が挙げられます。どこそこの政治不安,地政学的な緊張,ハリケーンなどの自然災害,テロによる施設の破壊、聞き分けのない労働者のスト、石油会社が暴利を貪っているからだ。など。最近よく耳にするのは投機マネーの流入です。

これらはどれも正しいのでしょうが,それだけが理由ではありません。

opecメンバーであるリビアのショクリ・ガネム国営石油会社代表は最近のインタビューで「投機マネーの流入はたしかに重要な役割を果たしているが,それが唯一の理由ではない。ドル安,地政学,製油の遅滞,需要の増加,そしてオイルピークが間近に迫っているからだ」と発言しています。

この現実を端的に示すのは油田発見のグラフです。


オイルドラムより)

重要な点は,これまでにもこういうことは幾度もあったが,さしたる影響は及ぼさなかった。それなのに,最近はちょっと何かあるたびに,価格に敏感に反映せざるを得ない。過敏にならざるを得ない最大の理由は需要と供給の逼迫です。安全弁の役割を果たしてきた余剰能力を持つ生産地がなくなり、「非常事態」があるたびに市場は敏感に反応します。言い換えれば、投機マネー対策をしてもそれは一時しのぎにしかならず,アブラの価格が下がっても長続きはしない。世界はアブラの減耗時代といういつまでも続く非常事態に入ったわけで,そういうファンダメンタルを理解して、これからの暮らし方を模索しなければなりません。

アブラ減耗時代という長期的な非常事態に備えるためには20年以上の年月が必要になる。2005年にアメリカのエネルギー省の要請でまとめられた「Peaking of World Oil Production: Impacts, Mitigation and Risk Management(世界的な石油生産ピークについて: その衝撃、緩和、そしてリスク管理について)」という報告書はそう結論しています。MISI社とSAIC社のベズデック、ウェンドリング、ハーシュの3人がまとめた報告書(通称、ハーシュ報告書)は「世界はオイル・ピークを迎えつつある」と2年以上前に警告しています。

そのハーシュは5月20日(まだ原油価格が127ドル程度で安かった時代!),CNBCとのインタビューで,現在のガソリン高騰なんかまだまだ序の口(「古き良き時代として思い出されるだろう」),数年以内には3倍から4倍にあがる,いくら極北や深海を探索し、採掘に投資しても間に合わないと述べています。

まだまだ安いアブラが手に入るうちに,長期非常事態への抜本的な対策に取り組まなくてはなりません。

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