Friday, August 29, 2008

グスタフとハナ/Gustav'n'Hanna

メキシコ湾岸にカトリーナが襲来してからちょうど3年。しばらく大型ハリケーンの直撃を免れてきましたが、もともとハリケーン銀座。どうやら今年は当たり年になりそうです。

現在,ジャマイカに大雨を降らせているグスタフが2005年のカトリーナとほぼ同じコースでメキシコ湾に進入しそうです。海面温度がハリケーンを大型化させるのに十分な高さであり,湾に入り次第、凶暴化する恐れがあります。ニューオリンズは48時間以内の至近距離に入っています。カトリーナとリタの教訓を生かし、人的被害が出ないことを祈らずにはいられません。

メキシコ湾にあるサンダーホースなどの海上原油採掘施設も厳戒態勢に入り、人員避難が始まっています。メキシコ湾岸で全国の25%以上の原油,15%の天然ガスが生産されるだけにハリケーンが直撃した場合の影響は必至です。

メキシコ湾岸の油田プラットホームの分布
ウエザーアンダーグランドより



(グラフ)過去に300万バレル以上の生産停止を余儀なくされたハリケーン
オイルドラムより

グスタフの後にはさらに大型のハナが並走しています。現在はかなり東の海上を北上中ですが、ecmwfなどのモデリングによれば、西に向きを変え、グスタフに続くようにニューオリンズを直撃する可能性もあります。そうでなくともグスタフと連動する恐れもあります。
このうえ、大西洋上にはいくつかのハリケーン候補がとぐろを巻き出しています。

ロイターによれば,IEAは「一定の被害が出た場合、戦略石油備蓄を放出する用意がある」と述べて、その発表の直後,原油価格は2ドルほど下がっています。市場からはそれほどの信頼されるIEAですが、IEA自身に備蓄があるわけではなく,せいぜい「加盟各国に放出を要請する」くらいで、実効がどれほどのものかはわかりません。加盟各国の原油需要が下がったため原油価格は最高時から比べると30ドル以上下がっていますが、ハリケーンの襲来はそれが長期的な傾向であるのかどうか、試すことになるでしょう。