Thursday, December 09, 2010

アサンジェ氏について公開書簡/Open letter re. Assange

米外交公電の公表以来、内部告発サイト「ウィキリークス」が追いつめられています。米インターネット通販大手のアマゾンからサーバー貸し出しが打ち切られてしまってから、ほとんど閲覧できなくなってしまいました。ネットには言論の自由なんか存在しないことをあらためて感じさせます。
米決済サービス大手「PayPal」の寄付金送金業の務取り扱いが停止され、カネの流れも止められてしまいました。創設者のジュリアン・アサンジェ氏がスイス郵便銀行にもっていた口座も閉鎖されてしまいました。また、女性に暴行した疑いでアサンジェ氏は国際指名手配中です。

25万点を超える公開文書のうち、在日大使館からの資料が3番目に多いそうで、「武器禁輸の見直し」を米政府が要求していたことなども明らかになっています。まあ、日本の外交関係者はウィキが見えなくなり、秘密の外交電がまた見えないようになってくれたらいいなあと願っているのではないでしょうか。
WSJの日本版で、いくつか、日本関係の公開文書を読むことができます。

(もし、ウィキリークをを見られる場所があったら、こっそり教えてくださいね)

アサンジェ氏の出身国のオーストラリアでは著者、編集人、文化人、法曹人や政治家などが中心となり、彼の身の保護と公正な取り扱いを首相に求める公開書簡が出されています。

以下は国営放送ABCのウエッブサイトに掲載されたものの翻訳です。
わずか1日半で集められたそうですが、オーストラリアを代表する名前が並んでいます。政府はともかく、公平さを尊ぶ気質は根強く残っているようで、うれしくなります。

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以下に署名するものがこの公開書簡を出すのは、ジュリアン・アサンジェ氏には法治国家で認められる保護をオーストラリア政府から受ける権利があるからです。オーストラリア政府にはアサンジェ氏がそれを享受できるように取りはからう義務があります。
署名は、出版界、法曹界、政治に関わる人を中心に一日半で集められたものです。ウィキリークスやそのやり方にについては署名したものの間にもさまざまな見解があります。しかし、アサンジェ氏が公平な取り扱いを受けるべきだという点では一致しています。

この書簡に書名をしたい人はまだたくさんいると思います。しかし、事態の火急さを考えると、たくさんの書名を集めることよりも、先に公開することが得策であると考えました。
これを読んだ方で署名に加わりたい方は、ぜひとも下記のコメント欄に自分の名前を残してください。
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親愛なる内閣総理大臣、

私たちはウィキリークスのジュリアン・アサンジェ氏に向けられる言動が度を超して過激になっていることを憂慮しています。



「我々は、アサンジェ氏をほかの価値の高いテロリストと同等に扱うべきだ。殺してしまえ」ワシントンタイムズの保守的なコラムニスト、ジェフリー・T・クーナーはそう書いています。

ダン・クエイル副大統領の元チーフ・スタッフのウィリアム・クリストルはこう言っています。「ジュリアン・アサンジェや彼の協力者がどこにいようと、ありったけの力を使って、嫌がらせをしたり、ひったくって、制圧しちゃうことがどうしてできないのだろうか?」

"なぜジュリアン・アサンジェはまだ生きているのだろう?"著名な米国の評論家ジョナ・ゴールドバーグは問いかけます。

"CIAはジュリアン・アサンジェを血祭りにしてなきゃおかしい"ライト・ウィング・ニュースのサイトでジョン・ホーキンズ氏は述べています。

大統領候補の呼び声の高いサラ・ペイリンは、アサンジェをアルカイダの指導者と変わらないといいます。元ペンシルバニア州の上院議員でやはり大統領候補の一人と噂されるリック・サントラムはアサンジェの"テロ"を非難します。

このような例には枚挙にいとまがありません。

こうした言辞をただ大言壮語として見過ごすことはできません。この10年間、私たちは、'囚人特例引き渡し'(すなわち誘拐)から'強化尋問'(すなわち拷問)にいたるまで、それまではとても想像することができなかった超法規的措置が当たり前になることを見てきました。

こうした背景を考慮すると、アサンジェ氏の安寧に重大な懸念を持たざるを得ません。

ウィキリークスをめぐる政治的な論争に関係なく、アサンジェ氏には身の安全が保障されるべきであり、もし、法の裁きを受けなければならないとしたら、それは正当な手続きをふんで行われるべきです。

内閣総理大臣もご存知の通り、アサンジェ氏はオーストラリア国民です。国民の一人であるアサンジェ氏に対する身体的危害を呼びかける脅しが、個人から発せられるものであれ、国家からもたらされるものであれ、オーストラリア政府を代表し、あなたが糾弾してください。アサンジェ氏には当然認められる権利があり、保護を受けられるようにすることを、オーストラリア政府を代表し、あなたが確約してください。

私たちは総理大臣にオーストラリアは政治的なコミュニケーションの自由を保証することを再確認していただきたい。アサンジェ氏の旅券をそれが必要であるというしっかりした証拠もないのに失効させるようなまねは差し控えてください。アサンジェ氏に支援と擁護を与えてください。そして、彼に対して取られる法的措置は、法律と公正な手続きという原則に則るよるものであることを確認するために全力を挙げてください。

あなたがこれらのことを述べてもまったく問題にはなりません。それは民主主義と法治の原則を再確認するだけに過ぎないのですから。

この件はアサンジェ氏とウィキリークスだけの問題ではありません。もっと大きな意味を持つ、分岐点になるのではないかと思います。問題のある文書を公開したり配ったりするものは殺すぞと脅かされ、沈黙を余儀なくされることは世界のあちこちで普通に起きています。アサンジェ氏(アムネスティインターナショナルのメディア賞の受賞者)に対する暴力の脅しがまかり通るならば、英語圏で不穏な先例が新たに確立されることを意味します。
この大切な時に、あなたとあなたの内閣が毅然とした宣言をびしっと出すことは大きな違いを生むに違いありません。

あなたからのお返事をお待ちしております。
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アサンジェ氏は英ガーディアンのサイトを通し、さまざまな質問に答えています。この応答、今ではもうできないようですが、なかには、オーストラリア政府の追米な対応をちくりと批判する部分もあります。

「首相やマクレランド法相は自分が帰国できないというだけでなく、米政府が自分や自分のスタッフを攻撃するのに積極的に加担することを明らかにしている。これじゃオーストラリア国民であっても何の意味もないじゃないか」

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