Tuesday, January 18, 2011

ゴジラが出た/Harpoon fever

「ゴジラ」が出た。1月17日付けの朝日新聞です。
何事かと思えば16日に行われた大学入試センターの試験の日本史の問題で「ゴジラ」のポスターが出て、それに絡みで問題が出たということですね。まあ、それが受験生を悩ましたということでニュースになるのでしょうね。
南氷洋では別の「ゴジラ」が別の日本人を悩ませています。悩まされているのは日の丸「調査」捕鯨船団です(「調査」とかっこに入れるのはもちろん、こんなものは「調査」ではないという意味です。それが世界の常識です。捕鯨船団もその辺りを理解しているのか、船にはでっかくわざとらしく英語でRESEARCHと書いています)。
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ABCより転載)
南氷洋で暴れまわる「ゴジラ」は反捕鯨船団体、シーシェパードが昨年南氷洋で沈没した高速船アディ・ギル号に代わり、「妥協のない作戦」と呼ぶ今年の南氷洋反捕鯨戦線に投入した新鋭高速艦です。この船をローマ字式でgojiraと名付けたのは西オーストラリア州フリーマントルの市長のブラッド・ペティットです。シーシェパードの船団に加わるはじめてのオーストラリア船籍の船です。
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(サンローレル号に急迫するゴジラ。シーシェパードのサイトより転載)
このゴジラが12日午後、、南緯62度43分西経178度33分の地点で、補給/給油船のパナマ船籍、サンローレル号を捕捉、シーシェパードによれば、「日本の捕鯨団に給油するつもりか」と訪ねたところ「たぶん」という返事が返ってきたそうです。

この知らせにシーシェパードの旗艦スティーヴ・アーウィン号とボブ・バーカー号が現場に急行します。その2隻と追いつ追われつつしていた勇新丸2号と勇新丸3号がこれに続きます。
日本の捕鯨船団は本格的な「調査」捕鯨に入る前にシーシェパードに居所を探知されて、すべてが後手に回っている感がありますが、燃料補給船を抑えられてしまい、どんどん状況が厳しくなっています。
シーシェパードの発表によれば、今年のはじめに見つかって以来捕鯨船団はほとんど仕事になっていないのではないかということです。
14日付けのシーシェパードの発表によれば、サンローレル号は南緯60度以南の南極海にいたため、南極海での給油など、汚染の原因になりそうな活動を禁止する南極条約に違反するとゴジラの艦長から警告され、サンローレル号の艦長はそれに従い、北に移動しています。
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(サンローレル号を「護衛」するシーシェパードの船団。シーシェパードのサイトより転載)
それを監視する目的でスティーヴ・アーウィン号とボブ・バーカー号がサンローレル号に続いています。そしてそのあとを勇新丸2号と勇新丸と3号が追っています。シーシェパードによれば、12月4日に館山港を出港したとされるサンローレル号はまだまったく捕鯨船団に給油をしていないということです。兵糧断ちにすれば捕鯨はできなくなるという目論見で、シーシェパードはサンローレル号を徹底的に監視する作戦に入っています。もし、それでも燃料補給をしようとすれば、徹底的に間に入りの際、邪魔をする作戦でしょう。
かつてグリーンピースがゴムボートで燃料補給を阻止しようと間に入ろうとしたことがあります。その時、捕鯨船団は相手側が死んでもかまわないような危険なことまでやったんで、今回もしそのような事態になれば、犠牲者が出るかもしれません。
サンローレル号にシーシェパードが全力をそそいでいるおかげで、監視を逃れた勇新丸2号の銛でクジラがどんどん殺されていることは想像に難くありません。日新丸の巨大な船倉で解体作業が進んでいることで、シーシェパードのワトソン代表は歯ぎしりしているかもしれません。こういう事態になりかねないと、シーシェパードは、グリーンピースに同団体が保有する船の参加を呼びかけています。作戦や主義主張で違いがあるかもしれないが、もう一隻、船があれば、捕鯨船団を完璧に追いつめることができる、今年クジラを守るための最大のチャンスだ、小異を捨て大同につこう。自分たちと連絡を取り合う必要はない、南氷洋にその姿を表してくれるだけでいい。あと一隻、こちら側に船があれば、日本側の捕鯨を押さえ込むことができる。と呼びかけているのですが、グリーンピースからはこれまでのところ、なしのつぶて。まったく反応がありません。
もしかすると、サンローレル号はシーシェパードを日新丸から切り離すためのおとりであり、もう一隻、別な補給船が隠れている可能性もあります。「仕分け」を巧みに逃れ、予算がある鯨研だけにあり得ないことではないかもしれません。
シーシェパードの情報によると、15日には、補給船が追っ手を振り切ろうとするかのように嵐に突っ込んでいったそうです。タンカー、しかも積み荷でいっぱいのタンカーが荒い海へ突っ込んでいくってのは自殺行為というか、普通では考えられないことのようです。船体がぽきっと折れて重油がドブドブと海に流れてもへっちゃら、環境への配慮なんか二の次なのでしょうか。
南氷洋を無尽に駆ける「ゴジラ」、サンローレル号(と「護衛」のスティーヴ・アーウィン号とボブ・バーカー号、そしてその尻を追いかける勇新丸と3号)を離れ、現在は日新丸の探索に出撃しています。これからも捕鯨船団を悩ましそうです。まあ、あんまり暴れ過ぎると、去年のアディ・ギル号のように真っ二つにされちゃうかもしれないので、気をつけた方がいいかもしれません。

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