Monday, March 21, 2011

被災者救援へのパーマカルチャー的考察

昨日パーマカルチャー活動家の一人と話をした。もちろん話題は地震、津波、原発事故のことが中心になってしまう。これをきっかけにもっとエネルギー消費の少ない生活に変わることが生き残った人間にできるせめてものことだろうということで一致する。話題に上ったもうひとつのことは、もし、自分たちが救援される立場だったら、健康を維持し、しかもそういう自立した生活という方向に立て直すために、どんなものを必要とするだろうかということ。こういう話はやっておくといざというときのためになる。被災者の救援に参考になればと思いここに書き記す。

食料は、おにぎりのように調理をしなくても食べられる物、お湯を注ぐだけで食べられるカップめんなどが当座中心になることは避けられない。しかし、少し落ち着いてきたら栄養価が心配になる。できれば玄米を送ってほしい。玄米のほうが栄養価が高いことは知られるとおりだ。バランスのとれた食事が取りにくい状況で、健康維持のためには玄米中心の食事がうってつけだろう。
玄米は炊くのに時間がかかると思われているが、友人は秋田地方に江戸時代から伝わる「びっくり炊き」という方法を使うと、白米と同じくらいの時間で炊くことができることを教えてくれた。


調理はどうするか。
ポータブルのガスコンロが当座は便利だが、ガスの入ったカセットの補給が途絶えれば使えなくなってしまう。そこで思い浮かぶのは七輪だ。燃料の炭は軽くて持ち運びも便利だ。炭がなくなれば木切れなどでも十分使えるだろう。もっといいのはロケットストーブだ。日本では暖房用の大型のものがよく知られているが、第三世界では小型のものを調理に使う。効率がいいこともあるが、それぞれの場所で手に入る材料で簡単に作れるのも被災地には適している。一斗缶やペール缶、レンガ、ブロックなどが材料として使えるかもしれない。燃料は木切れ。日本ロケットストーブ普及協会など、技術のある人が避難所を回り、ワークショップを開催し、避難している人に技術を伝授してまわれば最高だ。


米以外の食料を調理するためには「火なしこんろ」の技術も役に立つ。鍋を数分間沸騰した後、断熱材で包み、余熱で調理するという方法だ。断熱材は布団でもいい。クーラーボックスに鍋を入れてくしゃくしゃにした新聞紙で隙間をうめ、ふたをすればいい。燃料消費が少なくて済む調理法だ。

お湯を沸かすのにはやかんがいるが、少ない燃料で沸かせるやかんは何と言ってもニュージーランドの名産、サーメットだろう。第二次大戦中、兵士の標準装備にもなった。支援を申し出ているニュージーランドから、大量に緊急輸入したらどうだろう。


さて、お湯を沸かせるようになったら、それを暖房に使いたい。今避難所では暖房に灯油ストーブが使われているようだが、天井が高い場所では、全体を暖めることは無理だ。灯油の供給も不安だ。そういう状況で効率的に体を温めるのは湯たんぽだろう。毛布やタオルにくるめば、8時間くらいは温めてくれる。朝は、その温水で顔を洗うこともできる。避難した人に湯たんぽとサーメットがいきわたれば、かなりしのぎやすくなるかもしれない。

何日も避難生活が続けば、洗濯が問題になる。量が少なければ、洗濯板や手洗いでもいいが、量が増えてくれば大変だ。トイレの詰まりを除くためなどに使われるラバーカップとバケツがあれば、手動洗濯機ができる。バケツに水(できればお湯)を入れ、洗剤か削った石鹸を入れ、洗濯ものを入れ、ラバーカップで5分くらいぐちゅぐちゅすればきれいになる。これも材料とちょっとした道具さえあれば、現地ですぐに自作できるはず。お試しあれ。


これらの技術は、どんな場所でもすぐに利用できる技術なので、被災地ばかりでなく、都会で節電に取り組む人にもぜひ試してもらいたい。こういう技術を身につけておけば、いざというときにも困らない。

もうひとつ。これから避難生活が長期化するにつれ、住宅の問題が出てくる。一つの手っ取り早い解決法には貨物用コンテナの流用がある。特に冷凍用の断熱材が入ったものがいい。あちこちの国で被災地での短期収容用に使われた例はたくさんある。住の確保を一刻も早く達成する方法として、ぜひ検討してほしい。

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