Thursday, April 21, 2011

親友の死

とても大切な友人が死んだと聞いた時、とても信ずることができなかった。
80年代の初めから一緒にラジオ番組をつくり、取材に出かけ、本を出版し、原稿を書く。クリケットの試合やフットボールにもよく出かけたものだ。
数年ほどご無沙汰だったがフクシマ以降、まるでそんな空白がなかったかのような勢いで僕らはかつてのように一緒に記事を書き、開幕したばかりのフットボールの話をし、また、一緒に何かやろうかなんて気分になっていたからだった。
葬式はやつの人柄を反影し、シドニーのメディアの連中ばかりでなく、フットボール友達も大勢集まっていた。やつのラジオ番組のカットアップが流れるのを聞きながら、とちゅうで、やつが出てきて、「これは壮大なラジオ芸術プロジェクトだった。みなさんご協力ありがとう」なんていうんじゃないかって、隣の人と話したけど、やつは最後まで出てこなかった。糞やろうめ。

とりあえずはふたりでやりかけた仕事を整理し、発表するものはする。それから先は、やつだったらどうするかなんてことを考えながら生きていくしかない。

トニー・バレルは、福島原発の事故があってから、非常に忙しかったのではなかろうか? それは、70歳(そんな歳には見えなかった)の彼には消耗だったのかもしれない。早い時期にコメントを書いているし、インタヴューにも応えている。この間、わたしは彼の論評を読む機会がなかったが、いまそれを読んでみると、非常に的確なとらえかたをしているのがわかる。リック・タナカとの連名になっている「原子力:答が問題になるとき」という文章では、福島後の問題に関し、日本では反原発の動きが弱いこと、あらゆる部分で(トイレットまで)電化が過剰に進んでいるので、あともどりができないこと、石炭や石油への再依存はますますコスト高になるのでそれも苦しいことを指摘し、日本の今後に懸念を示していた。

粉川哲夫の雑日記より。

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