Sunday, July 17, 2011

甘い関係

『おっかけマップ』より転載。
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経産省が5月2日にまとめた報告によれば、前身の通産省や商工省も含め、これまでの50年間に68人のOBが監督官庁から電力会社に再就職、驚く早 さで常務や副社長に昇格してきた。天下りの内訳は、北陸電力6人、中部電力5人、関電8人、中国電力3人、四国電力 4人、九州電力7人、沖縄電力に4人。発電だけの日本原子力発電に8人、電源開発6人。
最終官職だけを見ると分かりにくいが、資源エネルギー庁で仕事をした経験を持つ原発官僚が電力関連企業に"再就職"の場を求めるのが目立つ。エネ庁上がりの人間が電力会社にとっても使い出があるようだ。
下記のリストは68人の「下界に下りてきた人々」の中からエネ庁関係者、最近の人を抜粋した。
北海道電力(5人)
●山田範保
退官前の主な役職:環境省大臣官房審議官→経産省大臣官房付
入社/退社:2005年 7月→2011年6月 
社内の役職:理事→常務
2009年度国民政治協会への献金額:7万円
住所:札幌市中央区南一条東6−1−10アジリア札幌大通東1305

●村田文男
退官前の主な役職:資源エネルギー庁石炭部長
入社/退社:1986年 10月→1997年6月 
社内の役職:企画室調査役→燃料部長→常務→副社長

東北電力(7人)
●西村雅夫
退官前の主な役職:資源エネルギー庁海外炭対策室長→大臣官房付(中小企業庁次長)
入社/退社:2009年 7月→現職
社内の役職:顧問

●松田泰
退官前の主な役職:資源エネルギー庁長官官房審議官
入社/退社:1987年 6月→1998年3月 
社内の役職:顧問→常務→副社長→顧問

下北に建設されるウラン濃縮工場、再処理工場、使用済み燃料貯蔵施設の建設をどう進めていくか国会のエネルギー対策特別委員会で問われ、こう答えている(1984年)。
「こ れを行います事業者が地元と接触するわけでございますので、事業者の方で十分な説明ができるように我々も指導してまいることはもちろんでございますが、 政府みずからも地元関係者の間で必要な手続その他につきまして今後検討を進めてまいりたいと思いますし、あるいは予算その他の政策におきまして、PR関係 の地元に対します補助、あるいは関係団体に対します委託といったような手段を使いまして、広報関係の努力も続けていきたい」

東電(5人)
●石田徹
退官前の主な役職:資源エネルギー庁長官
入社/退社:2011年1月→4月
社内の役職:顧問

石田は30年までに少なくとも14基の原発の新設、稼働率を90%に高めることを盛り込む「エネルギー基本計画」を2010年に発表。

●白川進
退官前の主な役職:資源エネルギー庁公益事業部長、同省基礎産業局長
入社/退社:1999年10月→2010年 6月
社内の役職:顧問→取締役→常務→副社長
2009年度国民政治協会への献金額:24万円
住所:新宿区西早稲田2−1−23−206

●川崎弘
退官前の主な役職:資源エネルギー庁次長、経済企画審議官
入社/退社:1990年12月→99年 6月
社内の役職:顧問→常務→副社長→最高顧問→顧問

●増田実
退官前の主な役職:資源エネルギー庁長官、通産審議官(省内では事務次官に次ぐポスト)
入社/退社:1980年 5月→89年 6月
社内の役職:顧問→常務→副社長→相談役

●石原武夫
退官前の主な役職:特許庁長官、通産事務次官
入社/退社:1962年 5月→81年 6月 
社内の役職:取締役→常務→副社長→常任監査役→相談役

官僚時代に原子力局をつくれ」と主張し、「原子力行政のまとめ役」といわれた人物で東電の「指定席」への天下りの走り。

北陸電力(6人)
●荒井行雄
退官前の主な役職:資源エネルギー庁公益事業部原子力発電安全管理課長→国土庁長官官房審議官
入社/退社:2006年4月→現職
社内の役職:顧問→執行役員→ 常務
2009年度国民政治協会への献金額:15万円
住所:富山市今泉32−5プルミエールU404号

1991 年、当時公益事業部発電課長だった佐々木宜彦(後に初代保安院院長)などとともに参議院の科学技術特別委員会で質問に答えている。美浜2号 の細管破断事故について問われた荒井は大臣ですら「事故は事故」と認めたあとでも再三にわたり、「事象」と言い張って譲らなかった。


●上村雅一
退官前の主な役職:資源エネルギー庁公益事業部原子力発電課長→大臣官房付
入社/退社:1995年 3月→2003年 6月 
社内の役職:常勤顧問→取締役→常務

●高橋浩
退官前の主な役職:資源エネルギー庁公益事業部原子力発電課長→大臣官房付
入社/退社:1985年 6月→1995年 3月 
社内の役職:常勤顧問→常務→副社長→常勤顧問


中部電力(5人)
●小川秀樹
退官前の主な役職:経産省中部経済産業局長→大臣官房付(防衛省防衛参事官、背広組ナンバ−2)
入社/退社:2010年10月→現職
社内の役職:顧問

●水谷四郎
退官前の主な役職:経産省生活産業局長
入社/退社:2000年7月→現職
社内の役職:支配人→取締役→常務→副社長→顧問
2009年度国民政治協会への献金額:10万円
住所:横浜市港北区篠原東3−8−7


関西電力(8人)
●迎陽一
退官前の主な役職:資源エネルギー庁電力・ガス事業部長→大臣官房商務流通審議官
入社/退社:2008年8月→現職
社内の役職:顧問→常務

2002年に発覚した東電の「データ改ざんトラブル隠し」にも関わらず、福島や青森に「核燃サイクル事業を進める方針は揺るがない」とプルサーマルを強引に押し付けた人。
2003年の経済産業委員会で電力自由化について。
「今 般の制度改革では、優先給電指令でございますとか、こういった制度を整備することによりまして、原子力ですとか水力といった大規模な、長期安定的な電源 というのの稼働の環境を整えていくというふうなことも措置をいたしておりますので、これによって、CO2を排出をいたしません原子力、水力というふうなも のの運転というのも、新たな建設ですとかの投資環境の整備というのも行われるというふうなことで考えております。」

03年の経済産業委員会で民営化された電源開発への天下りについて。
「いわゆる天下りについて国民の批判というのがあることを真摯に受けとめまして、仮に公務員出身者が役員に就任をするというような状況が生じる場合には、国家公務員法上の厳格な定めのもとに対処をしていくということが必要」

●岩田満泰
退官前の主な役職:資源エネルギー庁石油部備蓄課長→近畿通産局長→通産大臣官房商務流通審議官→中小企業庁長官
入社/退社:2003年10月→2009年6月
社内の役職:顧問→常務→副社長
(2008年度国民政治協会への献金額:20万円)
住所:豊中市新千里南町3−2−2−503

●長田英機
退官前の主な役職:資源エネルギー庁長官官房原子力産業課長→資源エネルギー庁石炭部長→中小企業庁長官
入社/退社:1996年8月→2003年6月
社内の役職:顧問→取締役→常務→副社長

●柴田益男
退官前の主な役職:資源エネルギー庁長官
入社/退社:1988年4月→1997年6月
社内の役職:顧問→専務取締役→副社長

オーストラリアにおけるウラン資源の開発を目的に1980年に作られた日豪ウラン資源開発株式会社の代表でもあった。この会社の株主は関電(50%)、九電(25%)、四電(15%)、伊藤忠商事(10%)。

中国電力(3人)
●末廣恵雄
退官前の主な役職:資源エネルギー庁公益事業部原子力発電安全審査課長→資源エネルギー庁公益事業部技術課長→資源エネルギー庁官房審議官
入社/退社:1995年6月→2009年6月
社内の役職:理事→取締役→常務→副社長
(2008年度国民政治協会への献金額:33万円)
住所:広島市西区観音町1−30−601


安全審査課長時代の1984年、決算委員会で、新設される島根2号に適用された耐震指針を用いてそれよりも古い島根1号の安全審査をするべきではないかと質問され、中国電力を擁護する発言をした。

四国電力(4人)
●中村進
退官前の主な役職:資源エネルギー庁公益事業部原子力発電安全管理課原子力発電運転管理室長→公益事業部電力技術課長→保安院主席統括安全審査官
入社/退社:2008年4月→現職
社内の役職:上席支配人→取締役→常務
2009年度国民政治協会への献金額:10万円
住所:川崎市麻生区王禅寺西1−7−16

中村は02年の「東電のデータ改ざん、事故隠し」当時、保安院の主席統括安全審査官。

●落田実
退官前の主な役職:資源エネルギー庁石油部流通課長→工業技術院総務部技術審議官
入社/退社:1995年6月→2002年6月
社内の役職:取締役→常務

02年、四国電力の情報通信子会社STNet社長に転出。


九州電力(7人)
●掛林誠
退官前の主な役職:資源エネルギー庁 企画調査課長→大臣官房参事官→通商政策局通商交渉官
入社/退社:2008年9月→現職
社内の役職:顧問→海外事業部長→執行役員


●横江信義
退官前の主な役職:資源エネルギー庁公益事業部原子力発電課長→大臣官房審議官(地球環境問題担当) 
入社/退社:1998年8月→2008年6月
社内の役職:顧問→理事事業開発部長→執行役員→事業開発本部長→常務

沖縄電力(4人)
●遠藤正利
退官前の主な役職:資源エネルギー庁官房海洋室長→北海道通商産業局総務企画部長→大臣官房付
入社/退社:2007年6月→現職
社内の役職:理事→取締役→常務

●久慈偉夫
退官前の主な役職:資源エネルギー庁原子力産業立地企画官
入社/退社:1988年7月→1997年6月
社内の役職:理事→取締役→常務


日本原子力発電(8人)
●小島康壽
退官前の主な役職:防衛庁防衛参事官→産業技術環境局長
入社/退社:2009年10月→現職
社内の役職:顧問→取締役

●向準一郎
退官前の主な役職:資源エネルギー庁長官官房審議官
入社/退社:1993年6月→2002年2月
社内の役職:常務→副社長→顧問

1988年外務委員会での答弁。
「安 全審査の中で災害安全評価ということで、万が一事故が起こった場合にどういうような周辺環境に影響があるかというような評価もやっております。そういう ことで、多重防護という考え方でいろんなシステム、最後には格納容器という設備まで置きまして、周辺環境に放射能が漏れないようにというような災害評価の 中でも多重防護の考え方を使いましていろんな設備を多重につけるということで、我々といたしましては平常運転はもちろんでございますし、そういうようなト ラブル等が起こりましても、そういう周辺公衆が影響を受けるような災害につながるということはないというふうに考えておりますし、そういうふうに我々安全 規制を進めている」
「我が国の原子力発電所の安全性には問題はない」
「チェルノブイリの事故につきましては、原子炉のその 不安定な特性を持っているとかそういうような設計上の問題、あるいは運転上いろいろ規則違反をしたとい うようなことで特殊実験を強行したために起こったものでありまして、我が国では起こり得ないものというふうに承知している」

電源開発(6人)

●藤冨正晴
退官前の主な役職:資源エネルギー庁長官官房審議官→保安院審議官
入社/退社:2006年6月ーーーーー2011年6月
社内の役職:取締役→常務

青森県でもっぱらMOX燃料を使う大間原発を建設中の電源開発。
藤 冨は資源エネルギー庁長官官房審議官時代の2000年、参議院経済 産業委員会で放射性廃棄物の最終処分に関する法律に関する審議で加納時男の質問に答え、「高レベル放射性廃棄物の年間の発生量は概算で、(中略)約四 百六十トンございまして、これを国民一人当たりに換算しますと約四グラムである。産業廃棄物の約百万分の一」と説明。質を無視して量だけで比較しようとす る加納の乱暴さにはあきれるが、答える方の藤冨もずさん。
上関原発をめぐる第一次公開ヒアリング(2000年10月)には東北電力に天下る西村雅夫(当時、公益事業部計画課長)とともにエネ庁を代表する議長団として参加。
2002年の東電不正問題を調査する保安院の委員会メンバー。

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